シェルターにて

目覚めると、しっとり汗ばんだ夏の朝の気配。
シェルターの朝は静かだ。
鳥の声のグラデーションがあるだけ。
今日もうす曇り。グレーの光は、けだるいわが身には
やさしく感じるものだ。
  
窓をあけると、さぁっと吹き込む意外なほどのやわらかい風。
この緑のシェルターでも、夜の間に身を潜めると
それなりに閉じた空気になるのだとふと思う。
風に身をあて、つかの間濾過されたような気になる。
  
家人が植えた窓辺のミニトマトが芽をだした。
一度花をつけたシクラメンは、次つぎに葉を出し
新たな季節をむかえようとしている。
  
シェルターはひっそりと生き物が息づく場所。
密やかな海の底にも似ている。