肌寒い朝

明け方から響く雉の声。呼応するように遠くに聴こえる鳥達の声。
お天気のせいだろうか、眠っている間も遠くに行きながら
考えつづけていたような目覚め。
  
ここは緑に囲まれたシェルターのようなところ。
どの窓からも緑を感じ、今日の様子をたしかめることができる。
毎夜帰り道、ある坂を川にむかって下りはじめると
とたんにさぁっと風が立ち上がって、ここからは別のエリアなのだ
というサインを送ってくる。
その坂を下る間、徐々に生き物に戻っている気がするものだ。
  
寺の脇を横切る時には、家の向かい、川に沿って広がる緑の世界が
静かだが深い緑の布を揺らめかすような存在感を伝えている。

道を渡る時、ふっと霧の深いところから今日も抜け出してきたような、
帰ってきたような、そんな気が日々するのだった。