とある写真を見ながら

  
私がもっとも愛するのは
蝉の鳴く夏のある一日
部屋で本の世界を旅しながら
ねっとりと汗のついた指を見つめる
そんな瞬間であったことを
突如として思い出した。
  
冷めているけれど
その瞬間、
その感覚の目撃者であること。
その感覚すらもぽっかりと
手にとるような