ユーモアと美と可愛さと

神坂雪佳展を観にいく。
まったく知らない画人だったのだが、この「金魚玉図」を観て
何者かこの人は、と思い早速脚をはこぶ。


いやぁ、たまげた。
なんなんですか、これは。

本当にいまさらながら、琳派、江戸期の美術の到達点の高さに驚くのは
もちろん、この雪佳という人のモダンなこと。構図、トリミングの妙、
表具との組み合わせ、抽象化の度合い。
近代に位置づけられる人であるだけに、ある意味江戸期の画人より
モダンになっていく、まさにその飛翔の瞬間に立ち会っているような
緊張感とライブ感があった。

最近、音楽の側面から記号化について追っている本を読んでいることも
あり、近代ということについてや、その表現ということについて
つらつら考えている。そのこともあり、雪佳という人の離陸のプロセス
(私にとっては近代化、記号化というのは重力から解き放たれていく
というイメージに近い。一対一の意味合いからは自由になるが、
飛翔しすぎてもはや地面が見えなくなってきたのがここ数十年の
時代認識か?)を介間見られたことは得がたい経験だった。

ちなみに一番エキサイティングだったのは、「四季草花図屏風」。
別の意味では、ここで出会えると思っていなかった光琳の「流水図乱箱」。


細見美術館
若冲 (三の丸尚蔵館)  には行かねばならぬと思う。